2018年2月22日木曜日

黄色いパラボラアンテナ 福寿草(2018.2.22)





野草園にフクジュソウ【福寿草】(キンポウゲ科)の黄色い花が咲いています。別名は元日草・元日花とも呼ばれて、江戸時代から正月の飾りとして使われてきました。江戸時代の正月はもちろん旧正月のことで、今年もきっちりと2月16日の旧正月に合わせて咲きました。




 おわん型に咲くフクジュソウの花は、よくパラボラアンテナに例えられます。フクジュソウは昆虫に花粉を運んでもらう虫媒花ですが、昆虫を引き寄せるための蜜は持っていません。その代わり、パラボラアンテナが電波を集めるように、太陽光を花の中心部に集めて暖かい空間を用意して昆虫たちをおびき寄せているのです。
 まだ肌寒い時期に昆虫たちをおびき寄せるすばらしいやり方ですが、それでは暖かい太陽光が当たらない日にフクジュソウの花はどうなっているのでしょうか?




 上の写真は2月21日(水)、朝からどんよりと曇っている日の花の様子ですが、前の日にはしっかり広げていた花びらを閉じています。フクジュソウは太陽光の当たり具合で花びらの開閉を行っているんです。
 そのため、この時期、特に曇りの日に緑の情報館を訪ねてこられたお客様が「フクジュソウ咲いてますか?」と聞かれると答えにくい時があります。自信がない時には「もしかしたら開いていないかもしれません。」と答えていますのでご理解お願いします。
 ところで、寒いうちから黄色い花を咲かせて私たちを楽しませてくれるフクジュソウですが、花が終わったらどういう姿になるかご存知ですか?



花が咲き終わると、ニンジンに似た小さい葉をいっぱいに広げて光合成を行い栄養分を貯めこみます。そして、他の植物が茂って競争相手が多くなる初夏の頃には、葉を枯らして長い休眠期に入ります。このように他の植物と競合しない生き方は「ハミズハナミズ」という別名を持つヒガンバナなどと同じパターンですね。(「葉見ず花見ず 2017.1.10」のブログをご覧ください。)

 フクジュソウで早春の雰囲気をいち早く感じ取ってください。               (解説員)

2018年2月18日日曜日

ぽかぽか陽気にハナナが咲き始めました


ハナナ※は2月上旬開花予定でしたが,寒さが続いたためか,少しずつしか咲きませんでした。しかし本日の陽気に誘われてか,一斉に咲き始めました!! いよいよ春の訪れでしょうか。
 ハナナは,植物園入口から入って,すぐ前の花壇にあります。

※ハナナはアブラナ科のアブラナ属の植物で,菜の花の一種ですが,冬に咲き始めるので「寒咲き花菜」と名付けられました。花が少ない時期にハチミツをとるため,チリメンハクサイを改良して作られたものです。 
今年は,早陽1号と金木花菜の混合種を使っています。

(植物展示係 下川)

2018年2月10日土曜日

“春隣えだにみなぎる力かな” 俳句の展示入れ替えました。(2018.02.10)

野草園の休憩所内に展示している俳句作品を入れ替えました。


“春隣えだにみなぎる力かな” 久子
(はるどなりえだにみなぎるちからかな)


今の時期、園内を歩くと、落葉樹の枝先にはいろいろな膨らみが・・・
まん丸に膨らんだアオモジの花芽。
明るい色のピンクネコヤナギの花穂。
ピスタチオの実みたいなサンシュユの花芽、などなど。
このところ氷点下まで下がる寒い日が続いていましたが、春はすぐそこまで来ています。

紹介した句には“春隣(はるどなり)”という季語が使われています。
1月、2月頃の俳句によく使われ、文字どおり、”春がすぐそこまで来ている”ことを意味します。
この“春隣”の言葉に接する度に、なぜかしら、気持ちまでもあたたかくなってきます。
いい言葉です。




冬を代表する花、“蝋梅(ろうばい)”の句が多く寄せられました。
〈蝋梅: 芯が赤紫色なのが、ロウバイ〉

〈蝋梅: 芯が花びらと同色なのが、ソシンロウバイ〉
まずは、その花姿について・・・


“蝋梅や淡い光を凝縮す” 松岡絹子
(ろうばいやあわいひかりをぎょうしゅくす)


“蝋梅の色控へ目にけふの空” 池田ひさ絵
(ろうばいのいろひかへめにけふのそら)


“曇天やその蝋梅のつぶやきぬ” 吉田由美子
(どんてんやそのろうばいのつぶやきぬ)


“曇天を輝く色にする蝋梅” 大長清子
(どんてんをかかがくいろにするろうばい)


“蝋梅(ろうばい)”はロウバイ科で中国原産の落葉樹で、ロウバイとソシンロウバイがあります。
冬に、まるでロウ細工のような薄黄色の花を咲かせます。
光を透き通し、また反射するつややかな花びらです。
早春の植物園の楽しみの一つとして、園内に点在する“蝋梅”を見つけながらの散策もおすすめです。

〈今の時期、モデル庭園近くでは、ツバキとの競演も〉
”蝋梅(ろうばい)”の花の美しさの次は、「香り」です。


“臘梅の匂ひ拾ひてゆきし径” 西美知子
(ろうばいのにおひひろいてゆきしみち)


“臘梅の黄の見えてより香は風に” 西崎邦子
(ろうばいのきにみえてよりかはかぜに)


“詩詠みて臘梅の香に染まりゆく” 吉田由美子
(うたよみてろうばいのかにそまりゆく)


“臘梅のやさしき香り風に乗り” 越智政弘
(ろうばいのやさしきかおりかぜにのり)


“臘梅や一歩下がれば匂ひけり” 波田てつお
(ろうばいやいっぽさがればにおひけり)


“臘梅の臘といふ字と香に疲れ” 竹下美代子
(ろうばいのろうというじとかにつかれ)


“蝋梅”を語る時、「香り」ははずせません。
ソシンロウバイの方が、ロウバイよりも強く香ります。
ソシンロウバイとロウバイたちは、12月下旬から2月中旬頃までの長い間、園内各所で咲き続けます。
“蝋梅”は新春の香りであり、また春の訪れを知らせてくれる香りでもあります。

*この展示は、植物園で句会を開かれている「植物句会」松尾康乃主宰のご協力のもとに展示しており、約1か月おきに入れ替えを行っています。
*今回展示している俳句の一覧です。


(園長 上田)

2018年2月9日金曜日

梅は咲いたか 桜はまだかいな(2018.2.9)






 立春を過ぎて、寒さで遅れていた園内のウメの開花がやっと本格的になってきました。
 ウメが咲いてくると、この時期次に気になるのはサクラの開花です。昨日の朝刊に日本気象協会が発表した桜の開花予想が紹介されていましたが、福岡の予想日は3月24日で全国的に平年並みの見込みとのことです。ご承知のとおり、開花予想はソメイヨシノを基準にして行われていますが、園内の早咲き種(ソメイヨシノより早く咲く種)の現在のつぼみの様子をお知らせします。



 まず園内で毎年真っ先に咲くカワヅザクラ【河津桜】です。カンヒザクラやオオシマザクラの自然交雑により生じたと考えられている早咲き種で、すでにつぼみが大きくふくらんでいます。ちなみに昨年の開花は1月28日(満開は2月22日)だったので、今年はやはり寒さで遅れているようです。



 次はシュゼンジカンザクラ【修善寺寒桜】です。やはりカンヒザクラが片親である雑種です。昨年の開花は2月21日(満開は3月1日)でした。



 最後はカンヒザクラ【寒緋桜】です。花は赤みが強く下向きに咲きます。昨年の開花は2月24日(満開は3月7日)でした。

 サクラのつぼみは、冬のきびしい寒さを感じたあとにはじめて休眠から覚めるという性質をもっています。そのため早咲き種の開花時期は、春先の気温の状況で毎年かなり変動するようです。

 ちなみにカワヅザクラの例ですと、昨年は1月28日でしたがその前2年は2月13日、2月22日でした。さて今年はいつごろ花を咲かせてくれるのか、待ち遠しいですね。        (解説員)

2018年2月6日火曜日

今日は立春 春の足音を探して(2018.2.4)





 雪が舞う立春の日曜日となりました。
 「春の兆しなんて、まだまだ先でしょ。」、と言いたくなりますが、刻々と近づく春を、生き物たちが教えてくれています。
 写真は梅園のウメ(ヒノツカサ)のつぼみ。昨年に比べるとウメの開花は遅れているようですが、ほころび始めたつぼみには、花びらの姿を見ることができます。




  こちらの白いウメは(雪月花)。早咲きの品種で梅園では一足早く、開花しました。
 3分咲きといったところでしょうか。








 カンザキハナナも咲きそろいつつあります。



 今朝の針葉樹花壇は雪に覆われていました。地上に頭を出したチューリップの芽が、すっくと空に向かっています。
              


 野草園のフクジュソウのつぼみ。雪に囲まれていました。
 黄色い花に光を集める姿に、早く出会いたいものです。


 

ニホンズイセンはまだまだ見頃です。
寒い日が続きますが、植物園で春の足音を探してみませんか?
(ぽかぽか温室もご用意しています。)



                                  (植物展示係 佐藤)











2018年1月31日水曜日

樹木たちの春の準備~冬芽の表情(2018.1.31)



 暦の上ではまもなく立春。園内の樹木たちは寒い冬を過ごすために冬芽をつくって春を待っています。春にむかって着々と準備をすすめている樹木たちの今の表情を集めてみました。
 最初にあげたのはトチノキ(トチノキ科)です。春に葉や花になる大事な芽を守るために鱗(うろこ)のような芽鱗(がりん)で覆っていますが、さらに表面を粘液で覆って乾燥や食害を防いでいます。
 サクラやヤナギなどの冬芽も丈夫な芽鱗に覆われています。

ソメイヨシノ(バラ科)


ピンクネコヤナギ(ヤナギ科)


 モクレン科の冬芽は芽鱗に毛が生えていて見るからに暖かそうです。
ハクモクレン

アレクサンドリナ(園芸種)
 芽鱗を持たず裸の芽が縮こまっているものは裸芽(らが)といいます。
アジサイ(アジサイ科)
オニグルミ(クルミ科)
 常緑樹もしっかりと冬芽をつけています。
タイサンボク(モクレン科)
オオカナメモチ(バラ科)
 寒い中、早くも葉を広げている種類を見つけました。
ハクウンボク(エゴノキ科)
ニワトコ(スイカズラ科)
最後に早春に開花させるためにつぼみを大きくふくらませている種類を紹介します。
ジンチョウゲ(ジンチョウゲ科)
ミツマタ(ジンチョウゲ科)
 まだまだ寒い日が続くと思いますが春はもうすぐ。植物園で春の気配を感じてみませんか。

(解説員)

2018年1月12日金曜日

“焚火せし子の好奇心燃え上がり” 俳句の展示入れ替えました。(2018.1.12)

野草園の休憩所内に展示している俳句作品を入れ替えました。

“焚火せし子の好奇心燃え上がり” 柳井扶美代
(たきびせしこのこうきしんもえあがり)

私が子どもだった頃、いろんな場所に“焚火”がありました。
登校時の集合場所となっていた空き地、畑、家の新築現場などなど。
黒い煙を巻き上げる火もありましたが、それでも“焚火”に吸い寄せられ、半ズボンの足をさすりながら火にあたっていたことを懐かしく思い出します。
そんな“焚火”も、今でははほとんど見ることができなくなりました。 
園内イベント『焚火の時間』の風景/焼きマシュマロをしています
植物園は季節を感じてもらう場所です。
今年の植物園では、冬の風物としての“焚火”を楽しんでもらおうと、芝生広場で『焚火の時間』を始めました。(11月から2月の日曜・祝日の午後開催)
園内で出た枯枝を薪として燃やす、ただそれだけのイベントですが、燃やし出すのと同時に、吸い寄せられるように子どもたちが集まってきます。
人類が誕生してから数十万年、ヒトは“焚火”を炊き続けてきました。
焚火への関心は、教えられるものでなくヒトとして生まれ持ったものなのでしょう。


今回展示した句には、他にも“焚火”に関する句がたくさんありました。


“嫌なこと焚火にくべてしまひけり” 波田てつお
(いやなことたきびにくべてしまひけり)

“火の機嫌とりつ焼藷見失ふ” さち子
(ひのきげんとりつつやきいもみうしなふ)

“焼藷いもを分け合ふ仲間あればこそ” 西美知子
(やきいもをわけあふなかまあればこそ)

“焼藷や一気に五感小躍りす” 竹下美代子
(やきいもやいっきにごかんこおどりす)

“園長も大忙しの焚火かな” 越智政弘
(えんちょうもおおいそがしのたきびかな)



*この展示は、植物園で句会を開かれている「植物句会」松尾康乃主宰のご協力のもとに展示しており、約1か月おきに入れ替えを行っています。

*今回展示している俳句の一覧です。

(園長 上田)