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門松に飾られる植物分かります?(2016.12.28)

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いよいよ,クリスマスも終わり,年の瀬が迫ってきました。そのような中,福岡市植物園の正門前にも門松が設置されました。   最近では,だんだんと街中で見ることが少なくなった門松ですが,そもそも,門松に飾られている植物ってどんなものが思い出せるでしょうか? 今回,植物園の門松に使用している植物は次の通りです。 ①    竹(タケ) 竹は,とても生長が早く,真っ直ぐ上に伸びることから,生命力を象徴し,また,長寿であることから,長寿,繁栄の象徴ともされています。 ②    松(マツ) 松は一年中葉を落とさない常緑樹として,「永遠の命」を意味するとも言われています。また,古代より神聖な木として,長寿のシンボルとなっています。 ③    万年青(オモト) 漢字で「万年青」と書く通り,常緑で長寿と健康の象徴とされています。 ④    梅(ウメ) 新春,一年の始まりを意味するとして,古代より親しまれ,実をつけることで大変縁起が良いものとされていました。 ⑤    南天(ナンテン) 南天は,ナンテン(難転)として「難を転ずる」に通じる縁起物として,正月飾りに用いられるようになりました。 ⑥    万両(マンリョウ) 沢山の赤い実をつけるマンリョウは子孫繁栄を意味しています。 ⑦    葉牡丹(ハボタン) 葉牡丹の幾重にも重なり合う葉が,「吉事を重なる」とされ縁起物とされました。 このように,古代から日本人は,植物を愛し,植物と共生していたことが,よく分かります。 また, 門松以外にも多くのお祝い事や節目など多くの場面で,植物が意味を持って使われています。 今後も,このブログで少しずつご紹介していきたいと思います。 門松は,1月15日(日)まで飾っておりますので,新年,植物園にお越しの際には,是非,門松もご覧ください。 ■福岡市植物園は 1 月 2 日(月)より開園しております。 ■ 1 月 2 日(月)は先着 200 名様に「お年玉プレゼント」として花鉢などのプレゼントを行います。 ■ 1 月 6 日(金)は先着 20

毎日の巡回中に出会う、ひっつき虫の紹介です。(2016.12.22)

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   今の時期、園路沿いの樹林の中に入ると、小さな笹の葉みたいな植物の茂みから一直線に空へ向かって種がびっしり付いた穂が、広範囲にわたって出現します。 これは“チヂミザサ”という植物で、日本全国、地中海沿岸から中央アジア・インド北部・極東に広く分布するイネ科の一年草です。やや湿った林縁や明るい林内に生育してます。     “ササ“という名称がついていますが、ササの仲間ではなく、葉の縁がササの葉みたいに波打っているところから名づけられたそうです。       結実後にうっかり茂みの中に入るものなら、気付くと作業服のあちらこちらに「ひっつき虫(種)」が付着して、きれいに取るのにひと苦労することになります。   種子には芒(のぎ)と呼ばれる長い刺があり、芒の刺部分には粘液が付いており、動物や人など通るものならなんでも付着する性質があります。いわゆる「ひっつき虫」ですが、かぎ針や逆さ刺ではなく粘液で付くタイプです。このタイプは、ひっつき虫の中では少数派だと思います。      これは“メリケントキンソウ”という幼苗です。種には、ゴム靴も突き刺さるほどの強い刺が形成されます。春にかけて成長しますので、種が形成される前に除草するのがいいのですが、なにぶん広範囲に分布しているため、駆除するのに大変苦労しています。 植物園では、1月2日先着200名様に花鉢のプレゼントや6日には恒例の七草粥試食会を行います。  これから冬本番をむかえ、モノトーンの色が似合う植物園になりますが、よく見るとあちらこちらに春の便りが見られると思いますので、春を先取りしに、ぜひ当園へのお越しをお待ちしています。 (植物展示係)                                                    

おばけカボチャの解体(2016.12.21)

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 12月21日は冬至、昔から「冬至にカボチャを食べるとかぜをひかない」という言い伝えがあります。昔の人は野菜の少なかった冬にビタミン類を多く含むカボチャを食べることの大事さをよくわかっていたんですね。ということでカボチャの話題をひとつ。  9月から10月ハロウィンの頃まで園の入口に展示していたおばけカボチャを、種を採るために解体してみました。展示したカボチャの中でも最大級だった50キロのものとやや小振りのもの2個です。    道具は鋸(のこ)。一応鉈(なた)も用意したのですが、皮が堅くかなりの力で振り下ろさないと切れないことがわかったので、安全のため鋸でじっくりと切っていきました。                          断面はこのようになっています。中は空洞部分が多く、果肉は意外と薄く、内側に種がくっついています。  採った種はざるに集めたのですが、量はざるの3分目ぐらい。大きさの割にはちょっと少ない感じでした。ところでカボチャの種は中国では古来より食用にしているそうで、塩蒸しにして乾燥させるとビールのつまみに適しているとのことですが、当植物園では集めた種をどんぐり工作に使います。種が動物さんの耳になります。   植物園では12月23日(金・祝)から温室ギャラリーで「冬休みどんぐり工作体験教室」を開催します。どんぐりなどの木の実や種、松ぼっくりを使って動物やクリスマスクラフトなどを作ります。       対象は5才以上から小学生までです。費用は無料ですので冬休みは是非とも植物園にお越しください。                                             (解説員)    

ポインセチアは実は木なんです!(2016.12.17)

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  12月になると街のあちこちで鉢植えの赤いポインセチアが目立ってきてクリスマスムードを盛り上げています。街中では一般には鉢植えの植物というイメージが強いと思いますが、実はこの植物はメキシコを中心とした中央アメリカ原産で、自生地では3~5メートルに達する熱帯性の低木なんです。  当植物園温室の「ランの小庭」では、その原産地での姿をほうふつとさせる天井に着かんばかりに生長している姿を見ることができます。     この植物は我が国には明治時代中ごろに渡来していますが、いろいろなヒミツがあります。まずひとつは木の中では生長が非常に早いこと。その理由は茎の内部が空洞になっていること。  タケと同じ構造で、余分な栄養を使わなくても済むのでその分生長が早いのです。   茎の断面  もうひとつのヒミツは、赤く色づいて花びらのように見える部分は実は花ではないのです。この赤い部分は植物学的には「苞(ほう)」と呼ばれる葉が変化したもの。それでは花はどれなのかというと、苞の中心にあるちょっと黄色が見える小さなつぶつぶなんです。  このように苞が花びらのように色づく植物は、温室の中では「廻廊室」に咲いているブーゲンビレアなどがあります。 ブーゲンビレアの花  「ランの小庭」では、木立ちのほか鉢植えのさまざまな色のポインセチアも楽しむことができます。    冬が深まって寒くなってきましたが、暖かい温室でクリスマス気分を味わってはいかがでしょうか。                                             (解説員)

”榠樝(かりん)の実我が青春のあばた貌(がお)”俳句の展示を入れ替えました。(2016.12.08)

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 野草園の休憩所内に展示している俳句作品を入れ替えました。 今回展示した句の中から、いくつかご紹介します。 《園内のカリンは、イロハモミジを背景にたくさんの実が見ることができます。》 カリン(榠樝)の句が集まりました。 “榠樝の実我が青春のあばた貌” 波田 てつお (かりんのみわがせいしゅんのあばたがお) “不器用な我に似てをり榠樝の実” 武藤 典子 (ぶきようなわれににておりかりんのみ) “枝に生る向きのきままな榠樝の実” 大長 清子 (えだになるむきのきままなかりんのみ) “クリスマスツリーの如し榠樝の実” 柳井 扶美子 (クリスマスツリーのごとしかりんのみ)   カリンはバラ科の落葉樹です。 毎年秋から冬にかけて10~15㎝ほどの大きな果実がなります。 その大きさは、当園の野外植物の中では一二を争います。 今年は、当園のカリンも当たり年だったようです。 葉が落ちた枝に大きな実がたくさん下がっている姿は、”クリスマスツリー”のようでもあり、存在感があります。 カリンの実には芳香があります。 そのため、カリン酒やシロップ漬けなどを楽しむ方も多くいらっしゃいます。 漬けてからすぐはエグ味や苦味がありますが、年が経つとまろやかになると言われます。 句に詠まれている “青春のあばた貌(かお)”のようなゴツゴツとした実も、 “向きの気ままな”実たちも、 “不器用な”実も、 年を重ねて丸くまろやかになり、良い味を出されているものと想像します。 別の句にあるように、まさに、 “個性とは育てゆくもの青榠樝” 西 美知子  (こせいとはそだてゆくもあおかりん)  のようです。 どんぐりの句が二句ありました。 “踏み処なきかに木の実木の実かな” 弓山 紀代子 (ふみどころなきかにこのみこのみかな) “どんぐりや坂道ころころどこへ行く” 長倉 忍 (どんぐりやさかみちころころどこへいく) どんぐりのなる木のうち、植物園内に多いのは、コナラ、アラカシです。 毎年、たくさんのどんぐりを園路に落とします。 少し珍しいものでは、アベマキ、イギリスナラなどのどんぐりもあります。 《アラカシの実(今日も落ち続けて

ハーブ園にライオンの耳?「レオノティス・レオヌルス」が咲いています(2016.12.06 )

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ハーブ園にライオンの耳?「レオノティス・レオヌルス」が咲いています ( 2016.12.06  ) ハーブ園に2mほどの草の上部に,オレンジ色の花が咲いています。 花冠がライオンの耳に似ていることから,ライオンズイアー( lion ’ s-ear )とも呼ばれています。   属名は,ギリシャ語のl eon (ライオンの意味)と ous (耳の意味)に由来しています。   たてがみのようにも見えますが・・・・   原産地は南アフリカです。 (解説員 N )

植物園にリス出現?!(2016.12.01)

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 今日、モデル庭園を歩いていると、目の前に動物の耳らしきものが! リス? はたまたムササビか? 表から見ると、何やら黒いぞ・・・・? 正体は、ハクモクレンの冬芽でした。 ハクモクレンは、この綿毛に包まれた「苞(ほう)」を脱ぎ捨てながら、 春に向けてつぼみをふくらませていきます。 まだまだ緑の葉がたくさん残っていますが、もう、1回目の「苞」脱ぎ中です。 苞のアップ写真。 大きさは2~3センチほど。 毛並み?もつややかで、ほんとうに動物みたいです。 触発されて園のスタッフがつくったクラフトです。 ピッタリです。 知らない人は「この耳は何でできているの?」と必ず聞いてしまいます。 この材料を手に、この冬、スタッフの工作の腕もますます上達しそうです。 (園長 上田)