“チューリップひとつひとつにねむり姫” 俳句の展示入れ替えました。(2017.06.13)


野草園の休憩所内に展示している俳句作品を入れ替えました。
今回展示した句の中から、いくつかご紹介します。


“チューリップひとつひとつにねむり姫” りつ

“チューリップ”の花びらが夜になると閉じてしまうことは、多くの方がご存知かと思います。
これは、花びらの内側と外側の成長速度の差によって生じます。
ある報告では、気温17℃以上になると花びらの内側が速く成長して花が開き、16℃以下になると外側が速く成長して花が閉じたという報告もあります。
内側と外側が交互に成長した結果、開花から10日間ぐらいすると花の大きさは倍近くになります。
毎年のことですが、数日見ない間に大きくなっていて、ちょっとした感動があります。

  
紹介した句では、“チューリップ”たちが“ねむり姫”に例えられています。
アンデルセンの童話、「おやゆび姫」が思い浮かびます。
そこでは、“チューリップ”の花の中から親指ほどの小さな女の子が生まれました。
“チューリップ”の花のやわらかな色と花姿は、見る人の心をおだやかにして「おとぎの世界」に誘い込むようです。 

最初の句からの「メルヘン」つながりで、こんな句もありました。


“ねずみさんツワブキのはであまやどり” もえみ


“ツワブキ”はキク科ツワブキ属の常緑多年草です。福岡近辺の自然林の中でもよく見かけます。
日陰や乾燥にも強く、和風庭園はもとより、さまざまな場所に植えられます。
丸い葉っぱでよく似た植物に「ツワ」がありますが、「ツワ」は冬には葉が枯れてしまいます。
「ツワブキ」は年中葉を付けるため固く「ツヤ」のある葉となります。
「ツヤ」のある「フキ」という意味で、「ツワブキ」の名前になったものと想像します。


子どもたちの世界では、「ツワブキ」や「フキ」の葉の下にさまざまな生き物が雨宿りするようです。
ネズミをはじめとして、カエル、コロボックル、トトロ、などなど・・・
私の子どもの頃は、コロボックルでした。
「葉影にいるかもしれない」と、いつも探していたことを思い出しました。
これからも、子どもたちが多様な自然の中にさまざまなイマジネーションを広げてくれることを願います。

*この展示は、植物園で句会を開かれている「植物句会」松尾康乃主宰のご協力のもとに展示しており、約1か月おきに入れ替えを行っています。


*今回展示している俳句の一覧です。

(園長 上田)

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