幹からニョッキリ アコウの実(2017.8.23)



 先日は秋に向けて大きくなっている木の実を紹介しましたが、今回は展望台のところで奇妙な実のつけ方をしているアコウ【赤榕】(クワ科イチジク属)の紹介です。
この木の実は、幹からいきなりニョキニョキと出てきてびっしりと鈴なりになります。初めて見た方にはちょっと異様な(あるいは不気味な)印象を与えるかもしれません。


 このような実のつけ方は「幹生果(かんせいか)」と呼ばれます。熱帯雨林の樹木によく見られる形態で、木々が繁茂して密生する環境の中で地上を移動する哺乳類に食べられやすい(=種子が運ばれやすい)ように進化していった姿だと考えられています。
平成27年の11月頃に当園大温室で巨大な実をつけた「世界最大の果物パラミツ」は、幹生果の代表的な種のひとつといえるでしょう。その他「熱帯果実の王様ドリアン」や「チョコレートの原料カカオ」なども典型的な幹生果です。

パラミツ H25年11月撮影
 ちなみに、イチジク属の実の中には小さな花が多数入っています。イチジクを漢字では【無花果】と書くのは、このように花が外から見えないことに由来しており、花嚢(かのう)と呼ばれます。(「嚢」は袋の意味)
花嚢(かのう)の断面
気根
 そのほか常緑樹なのに年に数回新芽を出す前に一斉に落葉したり、枝や幹からは多数の気根を垂らすなど、ちょっと変わった生態をもったアコウの木。展望台2階に上がったら西の方の目の前で観察できますから、どうぞご覧ください。
                                  
 先日のブログでトチノキの実が熟して落下する時期を例年9月後半とお知らせしましたが、今年は早くも落下が始まっています。今年の猛暑で例年より熟すペースが速いようです。 (解説員)

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