緋色の系統 早咲きの桜たち(2018.3.21)






 3月19日、平年より4日早く福岡地方のサクラ(ソメイヨシノ)の開花が発表されましたが、当園内では早咲きの桜たちが標準木であるソメイヨシノに先駆けて咲き誇っています。
 花木園では早咲き桜の一種ヨウコウ【陽光】が開花しています(3/14開花)。大型で濃いピンク色の花が多数咲く華やかな桜です。ソメイヨシノの一品種のアマギヨシノとカンヒザクラとの交配により1981年に作出された品種です。






 すぐ近くにオカメも開花しています(3/7開花)。ヨウコウに比べると型は小さいですが、やはり濃いピンク色の花をつけます。ユニークな名前ですが、1930年頃イギリスのサクラ研究家C.イングラムがマメザクラとカンヒザクラとの交配により作出した品種です。
 ちなみにサクラの「早咲き」「遅咲き」とは、一般的に標準木であるソメイヨシノの開花前に満開になる種類を「早咲き」、ソメイヨシノがほぼ散り終わって満開になる種類を「遅咲き」と分類しているようです。


 当園内では、上の2種の前には全国的に早咲きで親しまれているカワヅザクラ【河津桜】(2/27開花)やシュゼンジカンザクラ【修善寺寒桜】(3/7開花)も咲きました。




カワヅザクラ

シュゼンジカンザクラ

 この2種類はカンヒザクラを片親として自然に交雑して生じた雑種で、でもう一方の親はオオシマザクラと推定されているようです。
 これらの品種を並べてみると、花が比較的大型でピンク色が濃く、開花時期が早いという共通の特徴があり、それぞれの片親であるカンヒザク【寒緋桜】の早咲き性と濃い緋色の花色の系統をしっかりと引き継いでいることがわかります。






 当園では、ソメイヨシノはもとより4月中旬頃のサトザクラと呼ばれる遅咲きグループなどまで約50種類のサクラが次々に開花していきます。新着情報の「サクラマップ」で刻々と開花情報をお知らせしていきます。さまざまな種類のサクラ探訪に春の植物園にお越しください。    (解説員)                                                 

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